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  • KOBAKO 美容ジャーナリスト/エッセイスト 齋藤薫 特別寄稿
Essay by 齋藤薫
齋藤薫

女には、「3つの力」を
宿した鏡が必要だ。
自分の運命すら変え得る
1枚として……。

もしもこの世に"鏡"がなかったら……そう考えてみたことはあるだろうか。
きっと今の私たちは、不安で不安で一歩も外に出られないのだろう。鏡はまるでもう一つの目のように、もはや自分自身の体の1部になってしまっているから。でも、今のようなクリアな鏡が生まれたのは、驚いたことに19世紀に入ってから。14世紀までは金属を磨いた鏡しかなかった。ぼんやりとしか自分を見られないって、一体どんなだろう。それすら想像できないほどだから、鏡がなかったらと考えると、思いもよらなかった鏡の大切さが、次々と浮き彫りになってくるのだ。

人は、自分を見られない。自分のことを1番知らない。それは、内面にも外見にも両方に言えること。だからこそ、鏡はただありのままに自分を映すだけじゃない。いろんな意味で"客観性"となり得る、とてつもなく重要な道具であることを、時々思い出さなければいけないのだ。

そういう意味で、女には"3枚の鏡"が必要だ。まず1枚目は"自惚れ鏡"。ブティックのフィッティングルームにある鏡は、皆この自惚れ鏡と言われるけれど、じつは家にある多くの鏡もまた"自惚れ鏡"。人は知らず知らず、"自分の好きな顔"しか映さなくなるからだ。でもそれは、生きていく上で最も大切かもしれないツール。女としての自信を与え、今日1日、イキイキと生きていく力を与えてくれる。誰かに会いたいと、どこかに行きたいと、思いたたせてくれる。自分をキレイに見せる鏡がなかったら、女は絶対上手に生きられないし、命も輝かないのだ。

その代わり、2枚目の鏡は、全く逆の役割を持つ"戒め鏡"。自分の嫌いな顔も、見たくない肌の衰えや、要らない脂肪も、正直に包み隠さず見せてくれる鏡である。じつはこれもとても大切。自分にショックを与えるくらい、ネガティブな要素を映し出す鏡を時々でも覗き見て、自分を戒め、居住まいを正さなければいけないのだ。

そもそも人は、100も200もある表情のうち、日頃せいぜい10の顔しか鏡に映していない。その多くが自分の好きな顔。だから時々はその鏡をどこか別の場所に持って行って、違う光の中で普段は見えないシワや毛穴や色ムラをあえて映してみなければいけないのだ。これではいけない、すぐに手を打たなければ!自分をそうやって追い立てる。でないと人は絶対前に進めない。より良くならない。今の自分に甘んじず、もっともっとキレイになるためにはこの"戒め鏡"が不可欠なのだ。

例えば、電話で話す自分の顔を映してみる。自分の知らない顔が見られるから。その表情が嫌いなら、美しい表情に改めれば良い。鏡はそうやってイヤでも自分を矯正してくれるのだ。

じゃあもう1枚は? これは"自分を見守る鏡"。"自分を支えていく鏡"と言ってもいい。気づいていただろうか? 鏡はそれ自体が肌と心の、リフトアップ効果を持っていること。だから例えば、一定期間、鏡を見ないでいると顔の印象が変わっていく。残念ながら肌や顔立ちが緩んでいって、自分の意図しない顔になっていく。逆を言えば人は、毎日毎日鏡を見ることで、自分が意図する顔をキープしているのだ。それは言うならば、"見るリフトアップ"。顔立ちだけじゃない。気持ちもそう。人は鏡で自分を見つめながら、私はこうありたい、こうあるべきと、日々無意識に唱えているのだ。鏡を見ることで、自分自身をなりたい自分に整えていっているのだ。外見的にも、精神的にも。まさに見守り、支える鏡……。

こうして鏡は、3つの力で人を磨いてくれている。ただ姿を映すだけのものじゃない。昨日より今日、1%でも美しくいるために。あるべき自分であるために。たった1枚で3つの力を同時に宿す鏡もあるわけで、女にとってこれほど大切なものはないくらい。あまりに身近にあるから忘れている鏡の力。でももしもこの世に鏡がなかったら?と考えて、その偉大な力を見つめ直したい。自分の運命さえ変え得る1枚として……。

齋藤薫

齋藤薫

美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『されど“男”は愛おしい』(講談社)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。